北朝鮮の変

北朝鮮の金正恩委員長の消息がなく、死亡説があったが、5月1日、20日ぶりに、平安南道の工業地帯の「順川リン酸肥料工場」の竣工式に出席した映像を朝鮮中央通信が流した。

金正恩氏は、談笑しながら工場の敷地を歩き回る姿や、式典でテープカットする様子も伝えられ、タバコを片手に肥料工場についての説明を聞き入る場面もあった。

金正恩氏は、肥料工場の完工について「軍民一致の団結した力で創造した誇らしい成果であり、わが国の化学工業を一段階飛躍させる上で重要な契機になる」と労働新聞に、『食糧増産への意気込み』を語ったが、出てきたテレビの映像には、右手首の内側に黒い点があり、血管に医療器具を通して、心臓関連の手術を受けた可能性がある。

映像では、金正恩氏の隣に、妹の金与正氏が座っており、金委員長が政権運営が困難であれば、妹の金与正氏が後継者になると見られている。

金与正氏は、昨年、トランプ大統領とのハノイでの2度目の首脳会談の後、政治局員候補から解任されたとみられていたが、4月11日、正恩氏が主宰していた政治局会議で、党中央委員会政治局候補に復帰したばかりで、今回の復帰は、北朝鮮内の序列において、金与正氏が最近地位が上昇したことの一環であるが、組織指導部第1副部長では序列が低く、軍の経歴もなく、女性であり、軍を掌握するには、まだ時間がかかりそうである
が、金正恩氏は妹を後継者にしようと考えている。

他の親族は、
●兄の正哲(ジョンチョル)氏は健康状態に不安があり、依然として行方が不明である。
●おじの金平一(ヒョンイル)氏も、長期間海外に行ったままで、所在不明である。
●息子は、まだ10歳でとうてい継承はできない。
●暗殺された兄の金正男氏の息子の金ハンツル氏は、命を狙われて海外で身を隠しており、いずれの親族も後継には厳しそうである。

金正恩氏が死亡した場合、中国が金与正氏を認めるか、国内が治まるか、核兵器開発を止めないと経済援助が得られないので、その路線を変更するかどうか、トランプ大統領が大統領選で勝利すればいいが、バイデン氏では、遠い存在であって米朝は厳しい関係のままである。

金委員長は、時々、動向を明らかにしないが、その気まぐれさで、ゴシップやフェイクニュースは広まって行く。北朝鮮が望む通りに、うわさを認めたり、否定したりすると、ますます、その存在価値が高まってしまう。

北朝鮮は、巧みに情報戦・宣伝戦を仕掛けており、世界を撹乱しているが、私たちは、それに乗っかって、いろいろな憶測にひかっかてはいけない。