「なぜ、延長するのか」
「どこまで頑張れば解除なのか」
●国の緊急事態宣言の目的は、
「コロナ感染の流行を止め、医療機関を守るため」であり、現在、病院では、陽性の疑いがある患者への対応で、医師や看護師が大変苦労しています。
① PCR検査の数を増やし、感染源不明の新規感染者がゼロになり、感染が広がらないと専門家会議が認めること。
② コロナ陽性率や入院可能ベット数の統計を収集、分析、評価し、国民にその数字を発表し、緊急事態を終わることに、共感が得られること。
③ 再流行しても、受け入れられる医療機関・治療薬・予防薬(ワクチン)が開発され、治療きると専門家会議が判断した時。
④ 感染者数がなくなり、医療体制に問題がない地域が、外出自粛要請の緩和に向けた「感染拡大防止と社会経済活動」の取り組みができること。
●大阪府の吉村洋文知事は「出口戦略をしっかり持って感染症を抑え込み、一方で社会経済活動も両立させていくことが重要であり、第2波、第3波を想定しながらウイルスと共存する道を探っていきたい。」と語りました。
大阪モデルを作ったことは、『感染が拡大し、危ないアラートを、国が数値の明確な基準を示さないから、住民に見える形で、独自に大阪府の解除の基準となる数字を公表した。』と言いました。
西村大臣は「解除は知事の権限であり、国が基準を示さないからというのは、何か勘違いをしているのではないか」と反論しましたが、吉村知事の発言は、『地方の自粛要請や指示の権限は、国の基本的対処方針が土台であり、具体的に解除するには、どういう目標の数字であるか、解除する基準を示してもらいたい』との真意を語りました。地方には、感染症の専門家が少なく情報も断片的であるので、国の専門家会議がもっと、情報公開して、状況分析し、解除する際の指針やロードマップを示すべきです。
●国と地方との権限の話は、コロナが感染拡大した2月末に北海道の鈴木直道知事が、小中学校を臨時休業とするよう各市町村教育委員会などに要請し、週末の外出を控えるよう道民に呼びかけた時からありました。これは、地方自治体独自の行動であり、感染者は減少に転じ、全く問題はありませんでした。
◎その翌日、安倍総理は、全国の「学校一斉休校」を要請し、文部科学省も全国の都道府県教育委員会などに、臨時休校を求める内容の通知をしましたが、翌日、「各学校の設置者の判断を妨げるものではない」とトーンダウンしました。
確かに、小中学校の休校を管轄するのは市町村教育委員会、高校の休校は県教育委員会であり、学校休校は教育委員会が決定し、予算執行は各自治体の首長が行うものであり、総理は学校休校の一切の権限を有しません。
県立高校や特殊学校の権限は、都道府県の教育委員会にあり、殆どの県では、知事の要請で臨時休校の措置を取りました。国と地方の権限の考え方が混乱するのは、戦後の憲法下で、国家に権限を集中させないという、連合国の思惑があって、それが、教育現場の基本になっているからです。では、なぜ、総理が学校休学要請を言ったのか。それは、まさに、その必要があって『緊急事態だ』と判断したからです。だったら、国が指示できるようにしておかねばなりません。
●3月23日には、東京都の小池百合子都知事は「重大局面」だとして、都内をロックアウトで都市封鎖をする。「家から外に出ないでください。」と外出自粛を呼びかけました。いかにも、知事の権限で東京の道路や地下鉄を封鎖することが可能であるかのような発言でしたが、そのような法的根拠はまったくなく、日本では都市封鎖ができないのです。
4月7日に、政府が緊急事態宣言を出して、地方に、行動抑制や自粛を求めた時、東京都は、独自の行動制限や自粛要請を出そうとしましたが、西村康稔経済再生相が、「強い措置については、状況を見ながら判断すべきである」と待ったをかけました。
居酒屋や理髪店、ホームセンターの密集・密閉・密接の「3密」の線引きをやめさせるために、特措法で規定されている「基本的対処方針」を改定して、「休業要請は国に協議の上に行う」という文言を加え、国の関与が強まる仕組みを作ったのです。
小池知事は押し切られて、「政府が『伺いを立てろ』と言ってきた。知事は、社長だと思っていたら、天の声がいろいろ聞こえてきた。」と不満をあらわにしましたが、緊急事態の一刻を争う時に、「国が決めるのか、地方が決めるのか。」との問題で空白の72時間が失われ、機動力と瞬発力が削がれてたのです。
国と地方の権限の問題は憲法問題でもあり、「強制措置があれば、補償が必要だが、要請ならば、補償はいらないでしょう。」と、対応を地方に任せにしてしまう法案にしまいました。
●これで苦労しているのは地方であり、今も、一部のパチンコ店が営業を再開し、知事の言うことを聞きそうにありません。
この時期のパチンコは、誰が見ても『密』であり、感染を拡大する危険な場所で、やってる人の命も危険な状態ですが、長時間の人の集まりはコロナを拡大をさせています。
そもそも、パチンコは、風俗営業法7号で遊戯とされており、法律で現金を賞金として提供することが禁じられていますが、すぐ横に景品交換所があり、現金に換金しています。管轄官庁は、警察庁であり、この換金を摘発し、やめさせることができないものでしょうか。これは、れっきとしたギャンブルであり、毎日、何十万円もの金が動いて、ギャンブル依存症の人は、悲惨な人生を送っています。
●コロナの緊急事態を解除するためには、本来は、国が責任を持って対処要領を示し、しっかりとした基準やロードマップを示して、地方自治体への理解と納得を求めるべきです。
5月14日を目途に専門家が改めて分析し、可能であると判断すれば、31日の満了を待つことなく緊急事態宣言を解除することになります。
政府は、専門家会議を開催して、感染の実態をしっかり把握し、基準を作って、地方自治体に指導要領を先手先手で示すべきです。