アフガニスタンの退避オペレーション

外務省と大使館の任務と実行の点での厳格な評価が必要です。第一に、8月15日にタリバンがカブールを掌握、8月17日には日本大使はじめ大使館員は全員、外国の軍用機で出国し、自衛隊の輸送機を派遣し、27日に邦人1名を移送しました。菅総理は「今回のオペレーションの最大の目的は邦人保護だという意味でよかった 」と発言しましたが、私は大使の役割とは何なのかという疑問を持ちました。今回、大使館員全員は外国機で退去したのに、大使館や国際協力機構(JICA)が雇用するアフガン人職員、日本への国費留学生らを出国させられませんでした。オペレーションは邦人だけではなく、現地の大使館員や通訳、JICA、NGO、武装解除・地雷処理の業務で雇用していたアフガニスタン人の出国支援も必要です。なぜなら、タリバンの報復を恐れて出国を求めている日本のために働いてくれた人々の命を守ってあげることが必要な任務です。英国大使は、英軍の撤収完了と共にアフガニスタンを離れる最後の便で帰国。英国大使は武装勢力タリバンが首都カブールを掌握して以降、避難しようとする人たちの出国手続きをカブール空港で続け、今月14日以降、1万5000人以上をアフガニスタンから退避させました。米軍も82,000人のアフガニスタン難民を輸送し、国内のアメリカ人4500人が退避させ、司令官は最後の 軍用機で退避しました。 韓国大使も外交官3人とアフガンに残って、大使館関係者と在外国民救出のオペレーションを撤収しました。アフガンからの出国には、タリバンとの許可と意志疎通が必要で、そのためには大使館の大使 と駐在武官の特別ビザや通行証の発行手続きが必要であり、大使館員がカブール空港に残って、自衛隊機の輸送機の調整や出国を支援すべきでした。今回の事例を教訓に、大使館は日頃から情報収集に努め、危機が起きたら迅速に判断できるよう、大使館の警備、自衛隊の派遣による安全確保の備えを高めておくことが重要です。第二に、政府の情勢分析と意志。自衛隊機の派遣決定の在り方です。8月16日以降、自民党の外交部会や超党派の人権外交議連で、大使館が退避した後の残留者救出のための自衛隊機の派遣を求めましたが、23日に派遣決定され、24日に先遣隊派遣、26日にカブールに到着、カブールの陥落から自衛隊機の派遣決定まで8日もかかったのは、まず、民間機活用や外国軍に頼り、自衛隊派遣を避けようとする長年の習癖が、対応の遅れを招いたのです。国家としての事態認識の姿勢において、自衛隊機の使用を官邸、関係省庁の意思疎通がどうであったのか。リスクがあるため自衛隊機の派遣決定を避けるという忖度がなかったか。 法律の運用で慎重な 議論と検討 があったからでは ないでしょうか。災害派遣でも起こってから鶴首会議をして派遣が遅れてしまいますが、自衛隊を早く派遣して遅れても怒る人はいません。緊急事態は、初動の派遣は自衛隊に判断を委ね、かなぶりでもいい。早めに部隊に命令をだして、予防、準備行為を指示し、近隣国の空港で待機させるぐらいのオペレーションの早期開始の決断が必要なのです。派遣の根拠となった自衛隊法の規定は、安全な輸送を条件としていますが、緊急事態だからこそ、自衛隊の派遣が必要になるという現実と矛盾しています。空路は陸上輸送よりも戦闘に巻き込まれるリスクは小さいが、ヘリの派遣や陸路も含めて、どのような活動が憲法上可能かについて、より 精緻 に議論すべきです。第三に、自衛隊の在外邦人輸送の在り方。防衛省は外務省からの依頼というのは「待ちの姿勢亅です。 確かに自衛隊方に明記されて ますが、自衛隊は軍事組織であり、米軍と調整して、オペレーションにおける必要性の 意見具申 を上げているのか。自衛隊派遣部隊の行動、即応性。各国との連携においては、かなぶりでもいい。早めに予防準備行為をしたらいい。撤収しても、まだ、取り残されている現地のスタッフは救援を待ち望んでいます。